出面とは？
出面はでめん、あるいはでずらと呼びます。
出面とは現場作業を行うために現場にでた作業員の日毎の人数のことです。
最近ではあまり見かけることがなくなりましたが、建設事業で元請が直接自社、あるいは自社外の作業員を集めて工事を行うケースがあります。
その際の賃金はこの出面に労務単価をかけて作業員個人や企業に支払われます。
この出面をカウントして記録するのが出面管理です。
それを日々記録したものが出面帖とよばれるものです。
出面の目的
本来の目的は先に触れたように
賃金管理
です。
ただし、最近は元請と下請け間の契約も請負形式が主流になっています。
請負契約では責任施工範囲についてあらかじめ決められた金額が完成時、あるいは工事の進行具合により企業に支払われます。
作業日数や人数で支払い額が変わるわけではないのです。
現在では出面はむしろ
安全管理
出面を取ること自体に事故を防止する機能はありませんが、正確な出面、つまり延労働時間は安全管理に大きな役割を果たしています。
安全管理を行う際の度数率や強度率といった指標の分母には延べ労働時間が用いられています。
分かりやすいイメージだと、現場にいくと無災害労働日数というのが表示されていますが、これは工程上の日数ではなく、工程上の日数に作業員の人数をかけたものです。
つまり、正確な出面により精度の高い安全管理が可能になるわけです。
労務管理
元請企業にとって、この出面は全体を把握するための集計値として用いられます。
一方、出面情報は下請け企業にとってはまさに自社従業員の出退勤記録であり、労務管理を行う際のコア情報になります。
出退勤を自社ではなく現場に行う建設業において、出退勤記録はデメンや日報に依存せざるを得ないわけです。
このように出面情報は建設企業にもとめられる重要な経営管理情報としてその価値を増大させています。
出面管理の課題
しかし、出面をこうした経営管理情報として活用するためには現状において課題がいくつかあります。
基本的に出面は旧来、日報や月報という自己申告の形で提出され、集計されています。
このため
出面の提出や集計に時間がかかりリアルタイムな情報になっていない
という課題が残ります。
例えば、先ほど、安全管理に触れましたが、現状では入退場者の情報はあくまで実績としてしか管理できていません。
出面がリアルタイムに把握できれば、その時点で誰が現場にいて、誰が退場ずみか、といった動的な情報が把握できます。
作業終了時間になっても退場履歴のない人について現場トラブルを疑ってみるとか、深夜作業を行っていたひとが翌朝朝一番で出勤していたら健康管理上の美ッとをたててみるとか。
リアルタイムな情報をこのように動静として把握することでＰＤＣＡのサイクルを回したり、危険を予知したりといったことができるわけです。
次に
自己申告を基本としているので正確性に欠ける
という課題もあります。
先にもふれたように、出面は下請け事業者にとっては自社従業員の出退勤医記録、つまり勤務記録になります。
勤務記録は労務管理のコア情報で、その労務管理は現在働き方改革などの流れにさらされています。
これは建設業だけではなく全産業にわたっていえることです。
働き方改革は少子高齢化のなか、女性や高齢者の潜在力を活用し、現在の労働環境を改善させて日本全体の生産性を向上させ、最終的には出生率を向上させていこうとするものです。
その政策の骨子に労働時間の短縮というのがあり、そのための労務管理が求められています。
労働時間の適正な把握というのもそのひとつで、厚労省のガイドラインでは自己申告をベースにしたあいまいな労働時間の把握は望ましくない、とあります。
出面を労務管理に活用するためには自己申告という現状を改善する必要があります。
公平で公正な労務管理は人材不足に直面する建設業界にとって欠くべからず経営管理事項となっています。
もう一つの課題が
記録媒体が紙なので保存や再利用に難がある。
という課題です。
出退勤管理ではタイムレコーダーやパソコンなど、データを電子的に登録する方法がありますが、建設現場は屋外であったり、電気のまだ通っていない場所だったりして、これらの方法がとれません。
他の管理に出面を利用しようとすれば日報などの紙媒体をひと手間かけてデータ化する必要があります。
この手間と時間は出面の有効活用への大きな障壁になります。
以上、これらの課題をクリアするために出面管理にも自動化が必要です。
即時性があり、正確さと保存性を兼ね備えた出面データはより機動性に富んだ安全管理や労務管理を可能にします。
そして、より専門性が求められる施工管理や原価管理への応用が期待されます。
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